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■ 恋はうまくいくこともある New!
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2009年07月02日(木)
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大親友の早川義夫さんが、自分のホームページの今年3月頃の日記で、高樹のぶ子さんの『うまくいかないのが恋』という本について触れていたような記憶があって、早川さんが面白いと思っているのならきっとぼくにも面白いだろうと、その本を読んでみた。でもぼくはだめだった。 そのタイトルどおり恋について、結婚について、セックスについて、生き方について、女性に向けて書かれているのだが、高樹さんの恋愛の捉え方が、ぼくにはあまりにも計算しすぎているというか、テクニックやメソッドを重視しすぎているように思えて、読み進むほどにどんどん引いてしまった。 ただ『源氏物語』の中の光源氏の「飽かず悲し」(私の人生は思いどおりにいかない。満足できなくて悲しい)という言葉を引き合いに出して語られる、「不全」の思想には、心を動かされた(ローリング・ストーンズの「サティスファクション」もそれを歌っているのか。いや、違うかも)。
高樹さんが言っていることはもっともなことばかりで、悩める女性にとってはためになるのかもしれないが、あとさきのことなどまったく考えず、ひたすら突っ走ってしまうのが恋愛だと思っているぼくのような者にとっては、何か別の世界のことが語られているような印象を受けた。 何も考えず、何も見えなくなって暴走してしまうからこそ、ぼくの恋もうまくいかないのだろうか。そういう意味で「うまくいかないのが恋」というのはよく理解できるし、同感もできるのだが、高樹さんの場合は、ぼくとはまるで違う、もっと実利的、実践的な意味でそう言っているのだった。 この本の中で高樹さんは「過去」ということにも触れていて、「過去の話を聞いても語っても仕方ない、という人がいますが、とんでもない。過去を知ることは、その人の恋愛体質を知るうえで、もっとも大事なことです。過去は情報の宝庫ですから、それを引き出す言葉のスキルは恋愛の大きな能力だと言えます。何を話しても大丈夫、と相手が思って昔の経験を語ってくれたなら、それだけで半分はゲットしたも同然です」と、説いている。 これを読んでとても引っかかってしまったのは、ぼくはつい最近「過去」についての歌を作ったばかりだったからだ。恋人の過去についての歌で、タイトルは「言わなくてもいいよ」。そう、ぼくの場合は「過去の話を聞いても語っても仕方ない」どころか、「過去の話は聞きたくない、知りたくない」という、もっととんでもない人間なのだ。
というのも恋人の過去は、自分にとっては手の届かないものというか、今さら立ち入れないもので、今好きで、好きでたまらない人の過去の話を聞いたりしたら、どうして自分はその「過去」の前にこの人と会えなかったのだろう、どうしてもっと早くこの人と知り合えなかったのだろうと、悔しくなってしまう。つまり立ち入れない恋人の過去に嫉妬してしまうのだ。これって、あまりふつうの反応ではない、とてもおかしいことなのかもしれない。 「言わなくてもいいよ」という歌の中で、ぼくはこんなふうに歌っている。
今あるがままのきみが好き そんな今のきみを作り上げたのは きみの過去だとわかっている 昔の恋人たちの影響を受けているのかも でもそんなことどうでもいいよ きみの前の相手が誰だとか どれだけ長く続いたのだとか どうしてだめになったのだとか きみとぼくとが恋に落ちて ここにこうして二人でいる 目の前にいる今のきみだけ ぼくは見つめていたい 目の前にいるきみの今のことなら ぼくは何もかも全部知りたい
高樹のぶ子さんの小説は以前よく読んでいて、初期の作品の『光抱く友よ』は、ぼくの大好きな一冊だ。でも『うまくいかないのが恋』は、だめだった。 どうしてあの早川義夫さんが、高樹のぶ子さんの『うまくいかないのが恋』を面白いと思ったのだろうかと、まったく合点がいかず、改めて早川さんのホームページの日記を読み直してみたら、本が面白いとは一言も書かれていなかった。 早川さんは、こう書いているだけだった。 「最近勇気をもらった一言は、『うまくいかないのが恋』(高樹のぶ子)、『人生には何ひとつ無駄なものはない』(遠藤周作)です」 そうか、早川さんは「うまくいかないのが恋」というこの言葉に反応したのか。確かに、うまくいかないのが恋というのは真実で、早川さんもそれが骨身に沁みてわかっていて、つらい思いをしているのだろう。 でもうまくいかないのが恋だけど、うまくいくこともあるわけだ。恋は絶対にうまくいかないとは、高樹のぶ子さんも言っていない。 早川さん、もうすぐうまくいきます。きっとうまくいきます。でも高樹のぶ子さんの『うまくいかないのが恋』を読んで、女性がどうアプローチしてくるのか勉強しようなんて思ったりしたらだめです。それに『うまくいかないのが恋』をマニュアルにして近づいて来るような女性とは、絶対にうまくいきません。 恋は盲目、打算も技術も計画も手練手管もなく、とにかく玉砕覚悟で全身全霊でぶつかって行くのみです。
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