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GORO NAKAGAWA
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NAOBUMI OKAMOTO


Dig-Music Gazette 06

ほんものとにせもの 〜False From True〜

 ピート・シーガーが1968年に作り、同じ年に発表されたアルバム『NOW』に収めた「False From True」を日本語にして歌いたいと思ったのは、2008年のアルバム『At 89』で、ピートがこの歌を改めて歌っているのを聞いてからだ。
 そして2009年の夏に日本語詞ができあがり、それからライブでよく歌っている。
 日本語のタイトルは「ほんものとにせもの」にした。
 ほんものかにせものか、白か黒か、右か左か、きっぱりと二つに分けられないのはよくわかっている。
 ぼくの大好きな茨木のり子さんの有名な詩「生きているもの 死んでいるもの」でも、「生きているもの 死んでいるもの/ふたつは寄り添い 一緒に並ぶ/いつでも どこででも 姿をくらまし/姿をくらまし」と歌われている。
 さまざまなふたつのものは巧妙に溶け合っているから、そのふたつをきっぱりと見分けるのはほんとうに難しい。でもぼくらは一人一人、何がほんもので何がにせものなのか、自分で考え、自分で判断しなければならないと思う。特に2011年3月11日以降は、そうすることは自分たちが生きること、自分たちが生き延びて行くこと、それこそ地球が続くことと不可欠になっていると思う。
 ピート・シーガーは『At 89』のライナー・ノーツでこの曲について、フルシチョフが1956年の党大会でスターリンの非道行為についてぶっつけ本番の演説をした後、アメリカの共産党員の9割が離党したというエピソードを伝え、「何がほんもので自分たちが生きていく上で誰が大切なのか、自分自身で決めなければいけない」と書いている。 
 
中川五郎

Dig-Music Gazette 05

丸々赤ちゃん

 2009年5月、ぼくの娘が子供を生んだ。つまりぼくはおじいちゃんになった。娘とは一緒に住んでいないし、近くに住んでもいなくて、それとは別にさまざまな事情もあって、孫とはあまり会うことができない。でもたまに会うことができる孫娘はとんでもなく可愛い。
 自分に子供ができた時、ぼくはまだ25歳で、まだまだ自分のことで精一杯で、子供とどう向き合えばいいのか、どう子育てすればいいのかまるでわからなかった。あまりにも近くてわけがわからなくなることももあった。でも娘を間に挟んで孫を見ていると、子供とは、子育てとはということがとても冷静に見えて来る。孫ができて、親とは何かということを今一度確かめられるようにも思える。
 そんな親の気持ち、子供の気持ちが、簡潔ながらも鋭く歌われているのが、「Little Fat Baby/丸々赤ちゃん」だ。ぼくはピート・シーガーが2008年、89歳の時に発表した『At 89』の中で歌われているこの曲を聞いて強く心を揺さぶられ、すぐに日本語の歌詞を作って歌い始めた。
 一番の歌詞とメロディはピート・シーガーが1982年に作り、1992年頃にデヴィット・バーンズが2番と3番の歌詞を作り、やはり同じ頃にピートとデヴィットが最後の歌詞を共作して、ピートの『At89』の中でうたわれているかたちになった。
 
中川五郎

Dig Music Gazetteとは

中川五郎と岡本尚文がコラボレーションして歌と映像を届けるシリーズの名称。
DigはDigitalとDig itのダブル・ミーニング、Gazetteは新聞。

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